2013/08/13

中国人にとっての微信(WeChat)

以前、Wechatの決済機能を紹介した記事があったが、そもそもWeChatとは何か、日本のLINE、韓国のKAKAOTALKと何が違うかを詳しく説明した記事

微信の最大の特徴は、LINEにもFacebookにもない驚きの機能、「附近的人」(読んで字のごとく、近くにいる人の意。英語版では「Look around」と表示される)です。

ありていに言えば「出会い系アプリ」であるこのメニューをタップすると、GPSの位置情報に基いて今現在、近くにいるほかの微信ユーザーが100メートル以内、200メートル以内、といった具合に距離の近い順に一覧画面に出てきます。ほとんどのユーザーは顔写真入りのプロフィールをアップしており、写真付きブログの一部も見ることができますから、どんな人かはおおよそ知ることができます。検索に「男性限定」「女性限定」の設定を加えることも可能です。

気になる人が見つかったら直接メッセージを送って、運よく返事が来ればチャットがスタートできる仕組みです。近距離にいる相手ですから、会うのも簡単です。この機能は若者の間で出会い系アプリとして重宝されていますが、最近は悪用されるケースも多いようで、中国人の間でも警戒レベルが上昇中ではあります。

もちろん、出会い以外の使い道もあります。私の経験では、マレーシアに出張時に現地の情報を得るのに役立ちました。微信は英語版や日本語版もあるとはいえ、基本的には中国人向けのアプリですから、中国以外でも東南アジアのような中華系人口の多い所にはユーザーが多数います。マレーシアで「附近的人」を発動すれば、中国語で会話できる現地の人が多数ヒットします。そこで「北京から出張で来ました。クアラルンプール市内のParksonデパートの場所を教えてください」などとメッセージを送ると、親切に教えてくれる人がすぐ見つかります。

この「附近的人」機能を除けば、微信は基本的には友人限定のクローズドネットワーク内で使うコミュニケーション&情報共有のためのツールです。携帯の電話 帳に登録している微信ユーザーの友人は自動的にリスト提供されますから、その中からお互いに許可し合って友人限定のSNSとして使うのが基本です。

中国語で「朋友圈」(友だちグループ、の意)と表示されるプラットフォームの中で親しい友人たちと自分の近況、画像、音楽などを提供・共有して互いに「赞」(いいね)やコメントを貼り付けたりして交流しているかぎり、うっかり個人情報を不特定多数に発信したり、自分のサイトが攻撃されたりすることはありません。このあたりの安心感も微信の爆発的普及の要因になっていると思います。

自分や友人のマイクロブログでグループ内からの反応がよいのは経験上、「おいしそうな食べ物」「高そうなクルマ」「カッコいい人、きれいな人」「特別なイベントへの参加」「海外旅行」などのオリジナル写真です。日記風の他愛ない情報を通して交流を深めるのは日本と変わりません。

言い遅れましたが、中国では国策によりTwitterもFacebookも使えません。したがって中国版の代替アプリが出現するわけですが、中国版Twitterである「新浪微博」の勢いは明らかに衰えていますから、中国人の間でもオープン型のSNSより微信のようなクローズド型アプリへの乗り換えが起こっているのだと推察されます。

また、微信のスタンプ機能はLINEに比べるとお粗末なものですが、友人たちからGIFベースの楽しいオリジナルスタンプが送られてきますから、保存してバリエーションを増やすことができます。意外なほどニュアンスに富んだ簡易メッセージとして機能することがわかってきたようで、私の友人たちの間ではスタンプをテキストと併用する人が増えています。LINE大躍進の原動力であるスタンプは、モバイルチャットの隙間にうまく入り込んだコミュニケーション方法です。今後、中国でも浸透していくと思います。

もうひとつ、中国人がよく使っている機能が音声メッセージです。街中でよくスマホに独り言のように話しかけている人を見かけますが、これは文字入力が面倒な場合、口頭でメッセージを吹き込んで音声データとして送信する機能を使っているのです。また、WiFi環境にあれば動画付き無料通話も可能です。

現在、中国市場におけるマーケティング・コミュニケーションやブランドイメージ構築にソーシャルメディアは欠かせないピースになっています。LINEと違って、微信では企業公式アカウントが無料で開設できますから、そこにフォロアーを誘導できれば1対1のコミュニケーションに持ち込むことができます。「微博(中国版Twitter)で情報を広め、微信で個人とつながる」のが、今時の中国の若者へのアプローチ法です。消費者に自分から企業アカウントにアクセスしてもらうための動機づけや仕組みをどう設計するか、そこがいちばんの頭の使いどころとなっているのです。

出所:「中国人、ただ今スマホで「微信(WeChat)」中」 岡崎 茂生 :北京電通

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