2015/10/05

銀聯カード、世界で50億枚突破

中国のカード決済サービス最大手、中国銀聯が中国人以外の海外利用者の取り込みに力を入れている。すでに韓国ではカード発行枚数が1400万枚に達し、タイでは今年中に現在より5割増の150万枚の発行を目標に据える。日本ではコンビニエンスストアで利用拡大を後押しする。今や世界150カ国・地域の2600万店で利用できる強みを生かし、「世界のカード」への脱皮を狙う。

小売店の7割で「銀聯カード」を使えるというタイ。財布代わりに同カードを持つ中国人観光客にとって便利な国の一つだが、中国銀聯には別の野望がある。タイ人への普及だ。その秘策が8月18日、首都バンコクで明かされていた。

タイ銀行協会がこの日発表したのはクレジットカードや銀行カードに搭載するICチップの規格。そこに採用されたのが中国銀聯の技術だ。タイの銀行が今後発行するICチップ搭載のカードは中国はもとより、世界の銀聯加盟店で使えるようになる。

中国銀聯が発行する銀聯カードの枚数は全世界で50億枚を突破、昨年の決済額は41兆元(約780兆円)にのぼる。英調査会社ユーロモニターによれば、米ビザの決済額の世界シェアは2010年の38%から14年に31%に縮小。逆に銀聯が14%から33%に拡大し、世界最大手だ。

中国本土外での銀聯カード発行枚数も4600万枚と、既にJCBカードの日本国外の発行枚数2000万枚強を超える。だが、全体から見れば1%にも満たない。ほとんどの利用者は中国人だ。

これまでは海外に出かける中国人の利便性を高めるため、自社カードが使える海外加盟店を広げてきたが、中国のカード保有者は観光など利用機会が限られる。海外加盟店網を維持する上でも、中国人以外の利用者獲得が欠かせない。

銀聯カードが使える小売店が約40万店に達する日本。1日、新たな加盟店が加わった。約1万8千店を展開するコンビニエンスストア大手のセブンイレブンだ。この日から全店で銀聯カードが使えるようになった。

ローソンやファミリーマートも銀聯対応で訪日観光客の取り込みを急ぐが、銀聯国際の蔡剣波最高経営責任者(CEO)は「大手コンビニとの提携で日本人にとって銀聯カードが身近になる」と日本人の利用者増に期待する。日本では三井住友カードなどが銀聯カードを発行している。

ミャンマーでは同国決済代行大手ミャンマー・ペイメント・ユニオン(MPU)と業務提携。年内に同国で銀聯とMPUの両ブランドを冠したデビットカードを発行する。

銀聯カードの発行枚数が1400万枚に膨らんだ韓国。けん引するのは中国との経済交流の活発化に伴って出張や赴任で訪中する韓国人だ。同国のカード業界関係者は「海外で決済時にかかる手数料が不要なのが韓国人にとって魅力」と普及の要因を分析する。

ユーロモニターの最新統計によれば、アジア太平洋地域のカード決済額は16年に12兆2505億ドル(約1470兆円)に達し、世界全体(24兆1181億ドル)の過半数を占める。当然、ビザなどカード決済各社は利用者の掘り起こしを進める。

ビザは決済端末にカードをかざすだけで買い物ができる、非接触決済ソリューション「Visa payWave(ペイウエーブ)」や、携帯端末・オンライン決済をアジアに広げて新たな需要を開拓する構え。JCBは銀聯やビザが入り込めていないアジア新興国でのカード発行を強化する。利用者層の厚みを増す銀聯を軸に業界の競争は激しさを増しそうだ。

情報源:日本経済新聞