2015/11/02

中国の決済アプリ日本上陸

中国経済の減速懸念をよそに、中国人訪日客の爆買いの勢いは止まる気配を見せない。中国の建国記念日「国慶節」連休(10月1~7日)も、大阪の百貨店の免税カウンターなどでは店員らが中国人訪日客の対応に追われた。この商戦に合わせ、大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングが新たに導入したのが、中国人客向けのスマートフォン決済システムだ。店員と顧客の手間を軽減するだけでなく、現金、銀聯(中国の電子決済サービス)に続く“第3の支払い手段”として注目されている。

9月30日、大丸梅田店の化粧品カウンター。妹に頼まれた化粧品約6万円分を購入したシンガポール在住の台湾系男性は店員から、この日導入されたばかりのスマホ決済システムの説明を受けると、早速興味を示した。

WeChat(ウィーチャット)は、無料通信アプリ「LINE(ライン)」と同様、チャットなどができる中国最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)として親しまれている。このアプリの決済機能「WeChat ペイメント」は2013年にサービスを開始。運営するテンセント社によると、アプリ利用者(アクティブユーザー)約6億人のうち、決済機能は約4億人が利用している。中国国内ではユニクロやセブンイレブンなども導入している実績がある。

大丸松坂屋が導入したのは、訪日客が特に多い大阪・心斎橋や梅田、東京、札幌などの計8店舗。使い方はシンプルで、店員がタブレット端末の支払い画面に金額を入力。顧客のスマホ画面上に表示されたQRコードを店のタブレット端末で読み取るだけで、顧客の銀行口座から支払いが完了する仕組み。導入後、まだ実際に利用する客は少ないが、同百貨店の店員は「タブレットで中国語対応しているので支払いの説明ができ、顧客も慣れない日本円を数える手間がかからない」とメリットを感じていた。

商業施設の1カ所で、指定の時間に集まった若者たちがスマホを掲げて「シェイク(振る)」。中国国内ではWeChatを使って、割引クーポンが入手できるこんなイベントが定着しているという。テンセント社によると、今年の中国版“紅白歌合戦”では、テレビの前で利用者が一晩でスマホを72億回シェイクしたともいわれる。

日本での導入にあたり決済資金の日本への入金の仕組みを構築した三井住友信託銀行の担当者は「増え続ける訪日客に現金や決済カードの銀聯とは異なる、民間の決済手段を提供できたことが重要」と話す。

背景には、中国では現金の海外持ち出し制限のほか、銀聯カードも国の規制下にあることがある。実際に、中国は10月、銀聯カードの海外での外貨引き出し上限額を年間10万元(約190万円)とする規制を設けるなど、海外での“爆買い”を牽制(けんせい)する動きも出始めている。

スマホ決済システムは、大手飲食チェーンやディスカウントショップ、ドラッグストアなども導入を検討中で、“第三の支払い手段”として浸透する可能性がある。次の春節や国慶節商戦では街中で中国人訪日客がスマホを振る不思議な光景が広がるかもしれない。

情報源:産経新聞

0 件のコメント:

コメントを投稿