2015/11/29

中国が示すモバイル決済の将来

熱い注目を集めるモバイル決済の分野で、中国は世界の何年も先を行っている。だがそれだけでは妙味のある商売に成長させることはできない。

中国では今、食べ物の出前やタクシー、レストランの予約、映画チケットはもちろんのこと、ありとあらゆる場面でモバイル決済を利用できる。米国などで新規参入を図る事業者は、この市場がどのように発展し、どこに潜在的な成長の道があるかを示すロードマップを中国から得ることができる。

非現金決済としてこれまで主流だったクレジットカードや小切手が中国の消費者に幅広く浸透することはなかった。銀行が発行するカードはここ数年間で増えてきたものの、欧米に比べると普及率はまだ低い。最近まで現金こそが王様だった。

こうした背景から、中国では従来型の決済システムが普及する前に新しいシステムが発達した。米国では「アップル・ペイ」とペイパルの「Venmo(ベンモ)」などのモバイル決済サービスが銀行カード情報といった既存インフラに頼っている。しかし中国では、アカウントに銀行口座情報を登録する必要はあるものの、阿里巴巴集団(アリババグループ)の「支付宝(アリペイ)」や騰訊控股(テンセントホールディングス)の「財付通(テンペイ)」をはじめとする各社の決済システムは既存インフラに大きくは依存していない。

銀行カード市場を独占する国営の中国銀聨(チャイナユニオンペイ)は、カードの利用を促す目的で、商店に課す手数料を決済額の1%程度に抑えてきた。米ビザやマスターカードは手数料を2%を超える水準に設定している。徴収した手数料はカード発行銀行とPOSターミナル提供会社の間で分配され、ユニオンペイの場合は取り分がわずか0.1%前後だ。

モバイル決済事業者が求める手数料はさらに少ない。テンセントは手数料を明らかにしていないが、アリペイは決済額の0.6%を徴収し、やはりPOSターミナル提供会社や決済に関わる銀行と分け合うという。

いくつかのケースでは、銀行が課す手数料をモバイル決済事業者が損失覚悟で引き受けている。アリペイとテンセントは利用者間の送金で発生する手数料を代わりに負担し、人気を博している。テンセントの最高財務責任者は最近の電話会見で、こうした手数料の引き受けも粗利益率が3ポイント低下した要因の一つだと説明した。

手数料を軽くすれば、別の方法で収益を稼ぎ出さなければならない。一つの方法としては、ローンや投資に関する金融商品を組み合わせて販売することが挙げられる。だが中国の新規制が実行を阻む。

規制を回避するため、テンセントと、アリババ傘下のマ蟻金融服務集団(アント・ファイナンシャル)は、オンライン銀行を設立した。いずれもローンなどの金融商品を販売できるライセンスを取得しているが、業務の幅は限られている。

取り組みはまだ始まったばかりだ。これらの企業はユーザーの行動に関する情報によって個人の信用力を測ることができるとも主張しているが、大規模なスケールで実証された例はない。

中国はモバイル決済の進む道を示しているが、それでいかにもうけることができるかには答えを提示できていない。

情報源: WSJ

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