2016/02/08

2016年中国越境ECの行方

春節が間近に迫り、国境を越えた消費の情熱に再び火がついた。最新のデータによると、2015年の中国人海外旅行客はのべ1億2千万人に達し、銀聯カードの海外消費額だけでも1兆1千億元(約19兆5430億円)を超え、海外消費の規模が再び記録を更新した。

米国のオンライン決済サービス企業のペイパルと調査会社のイプソスが共同で発表した世界の国境を越えた貿易の報告書によると、中国のインターネットショッピング利用者の35%が、2015年に海外通販で商品を購入したという。14年は26%だった。

国境を越えた消費は盛り上がりの中にも背後にある問題点が見え隠れする。中国消費者協会がこのほど発表した分析報告によると、ここ数年、国境を越えた消費の苦情が激増している。15年の苦情は主に、海外旅行で一部の旅行者やガイドが消費者をだましたり、強制的に商品を買わせたりする行為、越境ECや代理購入の商品にみられる品質の問題、商品のアフターサービスが整っていないことの3点をめぐるものだったという。

中国国際貿易促進委員会研究院趙研究員は、「国境を越えた消費の規模が絶えず拡するのにともない、かねてより存在する消費者の権利保護や安全性などの問題がより頻繁にみられるようになった。注意しなければならないのは、一連の越境消費の問題が徐々に常態化していることで、消費者はこうした問題の防止に特に注意を払うと同時に、理性的でない消費を避け、国境を越えた消費を無計画に行わないようにする必要がある」と話す。

趙研究員は、「中国の人々は今ますます豊かになり、生活水準も常に向上している。人々はこれまでとは違う消費を味わってみたいと思い、より多くの体験型消費を希望し、国境を越えた消費はこのような消費ニーズを満たしている。」と話す。

同時に、価格要因が多くの消費者の選択の重要なよりどころとなっている。一部の輸入商品は各種の税金がかかることから、国内での販売価格を引き上げることが多い。中国紡績工業連合会の高勇副会長は、「中国が強みをもつ一連の製品、たとえばスニーカーや衣類などは、同じブランドでも、同じ製品でも、さらには中国で製造された製品でも、遠距離の輸送コストがかかるため、海外で買った方が中国で買うより安い。これは異常なことだ」と話す。

趙研究員は、「現在の状況から考えて、国内の供給と需要の問題が国境を越えた消費の急速発展の重要な原因だ。国内の供給能力では人々の消費構造のバージョンアップに基づくニーズを満たすことができず、特に質の高い商品やサービスの面で、中国の関連産業の発展ぶりはまだまだ消費のリズムに追いつけていない。このような商品・サービスがほしければ、国境を超えた消費を選ぶしかないのだ」と説明する。

国境を越えた消費はどうすれば国内に回流するだろうか。専門家は、「中国が消費者のニーズに対応する力を絶えず向上させることができれば、本来は国内でなされるはずだが海外に流れた消費の一部を徐々に国内に回流させることができる」と指摘する。

輸入商品の関税引き下げ措置が目下、積極的に進められている。2015年6月1日から、中国は衣類、靴類、スキンケア用品などの日用品の一部について輸入関税を引き下げ、平均引き下げ幅は50%を超えた。今年1月1日からは、さらにスーツケースなどの輸入日用品16品目の関税も引き下げた。2016年度「関税実施プラン」では、家庭用カートリッジ式浄水器の暫定税率が12%から5%に引き下げられる。

ブランドと品質の向上はどちらも大切だ。中国軽工業連合会の王世成副会長(事務局長を兼任)は、「中国企業が国境を越えて一流ブランドを合併買収(M&A)したり大量に調達したりすること、M&A方式を通じて優れたブランドの研究開発、デザイン、販売などの力をつけ、産業の発展にプラスになることを奨励する」と話す。

また趙研究員は、「国境を越えた消費の適切な回流を誘導する中では、供給側の改革において流通と生産の両方の改善の推進に特に注意を払う必要がある。一方では流通分野のコストを持続的に引き下げ、一連のディスカウント店などを発展させることが必要だ。また一方では生産能力を引き上げ、商品の技術力や外観などのバージョンアップを通じて、消費者の体験式消費に向けてよりよい環境作りをする必要がある。国の関連措置を積極的に推進することや消費者がますます理性的になることにより、国境を越えた消費はある程度回流することになる」と話す。

情報源:人民網