2016/04/02

スタバ、決済アプリで革命狙う 中国皮切りに世界展開

スターバックスはスマートフォン・アプリを使った新サービスを年内に日本や中国で展開するのを皮切りに、アジアや欧州、中南米など全世界に拡大する。総額337億円に上る独自のデジタル関連投資で客の待ち時間を短縮するなどサービスの流れを一変させ、集客の大幅な底上げを図る戦略だ。

モバイル決済の草分け的存在である同社は昨年、全米の店舗で「モバイル・オーダー&ペイ」と名付けたサービスを開始した。携帯端末のアプリで注文と支払いを事前に済ませ、店頭で待たずに商品を受け取れる。同サービスを世界展開するのに合わせ、米国内では個別客に応じてお勧めメニューを表示する新サービスも開始する。

アダム・ブロットマン最高デジタル責任者(CDO)は「アプリは非常に重要だ。当社の経営戦略の中心の一つになっている」と述べ、米国の直営店では数年以内に、携帯アプリでの注文が過半数を占めるようになるとの見通しを示した。現在、アプリによる注文は21%強だ。

グーグルなどIT企業が売り込むモバイル決済システムを導入するには、利用者が機種を変更したり、店内の端末を改良する必要があった。これに対しスタバが2011年に導入したアプリはQRコードを読み込む単純な作りが受け、瞬く間にヒット。「新たな決済方式の立ち上げで過去最大の成功を収めた」とされる。

スタバによれば、2月に米国の店舗でモバイル決済は約700万件に上った。事前注文の機能を利用した件数はこのうち15%、取引全体の3%を占めた。シュルツCEOは同社にとって最大の成長市場である中国について、「米国でアプリを導入した効果について驚いているが、中国で採用された暁には、米国以上に大規模かつ迅速に広がるだろう」とみている。

今年、スタバは、顧客に追加購入を「お勧め」するサービスを開始する方針だ。クローン氏は「より個人の嗜好(しこう)に合致した商品を勧めることで、1回当たりの売上額は50%相当増える可能性がある」と予測する。

アプリの利用が引き続き拡大すると、スタバの店舗にも変化が起こりうる。「レイアウトは実際に変わる可能性がある。アップルストアのようになるだろう。カウンターを廃し、注文の行列がなくなり、ラテステーションとエスプレッソステーションができてそこに行けばいいだけになる」(クローン氏)との見方もある。アプリで、スタバの財務面にも変化が起こっている。15年10~12月期(第1四半期)プリペイドのチャージ額は19億ドル(約2135億2200万円)。アプリ関連がその多くを占め、昨年は18%伸びた。

スタバは「パートナー・アンド・デジタル」と名付けるプロジェクト向けに16年は世界で最大3億ドルを投資するとしている。15年度は1億4500万ドル前後だった。スタバのアプリが売り上げ増加を牽引(けんいん)する様子を見た他の多くの飲食店も、同社に追随する動きを見せており、将来的にはスタバのような技術が他の企業でも見られるようになるかもしれない。スタバのブロットマンCDOによると、同社のアプリはほとんどが自前のもので、他の小売企業は同社にライセンス供給を求めていると話している。

情報源:ブルームバーグ