2016/05/26

中国のオンライン決済サービス「Alipay」とは

「支付宝(Alipay)」は、中国の第三者型オンライン決済においてシェア50%を有し、C2C、B2C、B2B決済をカバーしています。2004年に、商品が購入者宅に届いてから始めて決済が行われる「エスクロー」を開始したことが中国で受け入れられ、急速に普及しました。

スタート当初は、AlibabaグループのC2CとB2C電子商取引サイトである「淘宝網(taobao:タオバオ)」のオンライン決済における利用がメインでした。Taobaoから2011年6月にBtoCショッピングモールの「天猫(T-mall:ティエンマオ)」が独立。淘宝網、天猫といったグループ内でのAlipay決済の割合は、8割ほどあると言われています。日本のECサイトでも越境ECの強化策として、これらのサイトで販売を行いたいと考える企業も多いでしょう。

現在、Alipayはグループだけではなく、通販、ゲーム、航空、トラベル、保険、教育、公共料金など、さまざまなシーンでの採用が加速しています。支払いに関してもエスクローに加え、携帯代金や公共料金では、即時入金方式も採用されています。現在のAlipayの売上は、約6割がグループ外であると言われています。中国国内の170を超える金融機関と協力し、50万以上の加盟店にサービスを提供。

また、1日の平均取扱件数は1.7億件を突破するなど、トランザクションも衰える気配がありません。2012年12月にはユーザー数が8億人を突破。中国でのユーザーは4.5億人となり、アプリを利用しているモバイルユーザーも3億人以上を有しています。中国ではスマートフォンの利用者が急拡大していますが、Alipayは中国モバイル決済市場の8割を超えるシェアを誇ります。

その勢いは国境を越え、2007年8月から、海外向けにAlipayで決済できる「Alipay国際決済」を開始。世界中のEC加盟店に対して、中国の生活者に直接販売するスキームを提供しています。決済通貨は、中国・元に加え、アメリカ・ドル、ユーロ、香港・ドル、シンガポール・ドル、日本・円、スイス・フラン、イギリス・ポンドなど14カ国の主要通貨に対応。また、決済銀行は中国銀行と中国建設銀行となっています。

すでに国内の主要な決済代行事業者がAlipayに対応した決済環境を整備し、接続インタフェースや、管理ツールなどは日本語で提供されています。そのほか、国内企業との連携では、2014年には、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」、楽天のオンラインショッピングモール「楽天市場」の海外販売サービス「Rakuten Global Market」でAlipay決済の利用が可能です。

Alipayでは、Alipay国際決済サービスがスタートした時点から、日本は重要なマーケットとして位置づけ、営業を強化してきました。日本製品はシンプルで洗練されたデザインや確かな品質などで、多くの中国人消費者の間で根強い人気を誇っています。EC加盟店にとっても、中国におけるAlipayの安心感や信頼感、圧倒的な会員数は魅力が大きいでしょう。

中国のオンラインマーケットで圧倒的な地位を確立したAlipayでは、リアルの世界でも存在感を発揮。すでに、iOSやAndroidのスマートフォン用のモバイルアプリ「Alipay銭包」を無償で提供し、Alipay口座の資金を用いてQRコード決済を提供しています。

利用者は、店舗等でQRコードを表示して決済を行いますが、その際の安全性確保として、一定の時間のみ利用できるワンタイム・パスワード機能が用いられています。

2014年8月からは、バージョンアップされた「Alipay銭包8.2」を提供。Alipay銭包のプラットフォームでは、決済機能に加え、「Alipay Wallet(支付宝銭包)」と呼ばれる、Appleの「Passbook」に似た電子クーポンや電子チケットの管理機能、キオスク端末での決済などを提供しています。

すでに、香港、台湾、シンガポール、韓国などで「Alipay Wallet」を開始。日本でもビッグカメラ、パルコ、大丸松坂屋、近鉄百貨店、ローソン、ドン・キホーテなどがインバウンド対応として一部の店舗で導入しており、今後も徐々に利用店舗が拡大すると思われます。

なお、中国では近年、QRコードを活用した支払いが急拡大。Alipayでも2013年以降、利用者が急激に増加していますが、それ以外にも複数のサービスが現地で行われています。国内でAlipay、WeChat Payment、QQ Walletのモバイル決済が展開されていますが、取引上はモバイルを活用した非対面のネット決済となっています。ただし、実際にサービスを行う際は対面用の契約が必要です。なお、対面決済サービスにおける、1回あたりの上限金額は、サービスやイシュア(発行会社)によって異なるものの、1~5万元程度となります(1万元は5月1日現在、日本円で16万4,264円)。

中国で独自の発展を遂げてきたAlipayや微信支付ですが、その一方で中国国内の銀行は、ネットだけではなく、リアルの世界でも浸食されつつあることに危機感を抱いています。実際、リアルの世界では圧倒的な求心力を誇る中国銀聯ですが、ネットの世界では拡大傾向にあるものの、Alipayの後塵を拝している状態です。

2015年10月に開催されたJCBの世界大会では、中国銀行の担当者がAlipayに対して、「今後対応策を検討していかなければならない」というコメントを残していました。

銀聯は、リアルでのモバイル決済において、独自のネットワークである「Quick Pass」を提供、Appleの「Apple Pay」やSamsungの「Samsung Pay」も同ネットワークをベースにしていることから、今後のリアルにおける覇権争いにも注目が集まりそうです。

また、日本ではFeliCaの技術を使った電子マネーが数多く使われていますが、中国でNFC決済が広がると、観光地などを中心に銀聯加盟店が拡大したのと同様に、NFC対応端末が広がる後押しとなるかもしれませんね。

情報源:ECzine

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