2016/05/14

フィンテック革命、アジアに拡大 中国企業が世界をリード

フィンテック企業の代表格はネット決済サービスの米ペイパル。オークションサイトの米イーベイから分離・独立した会社で、2015年7月にナスダックに再上場。上場直後の時価総額は520億ドル(約5.6兆円)とイーベイの320億ドルを上回った。その企業価値は三井住友フィナンシャルグループ(4.5兆円)、みずほフィナンシャルグループ(4兆円)を上回る。

そのペイパルを凌駕する企業が中国にある。支付宝(アリペイ)を運営する蟻金融服務集団(アリ金融)だ。アリペイは特にモバイル決済に強く、利用者数は5億5000万人とペイパルの1億7900万人の3倍。取引金額も年間約8000億ドルともいわれ、ペイパルの約3000億ドルを上回る。アリ金融は阿里巴巴集団(アリババグループ、浙江省杭州市)から分離した会社だ。アリババ自体は2014年9月に米国で上場した直後は時価総額25兆円を記録したが、アリ金融も上場すれば10兆円の時価総額は下らないとされる。

1999年創業のアリババはもともと企業間(BtoB)のネット通販サイトだったが、2003年に消費者向け(BtoC)のサイト「淘宝(タオパオ)」を開設。2004年にそこでの決済手段をアリペイとして独立のサイトにした。消費者がアリペイに口座を持ち、商品の購入に際して同口座から出品者に支払いをする。アリペイは仲介をするわけだが、消費者が商品を受け取った時点で出品者に支払いを実施することで、消費者が安心してサイトで商品を購入できるようにした。アリペイではクレジットカードを持っていない信用力の低い消費者でも口座に人民元をチャージするだけで支払いが可能になる。

アリ金融及びアリババは中国のフィンテック分野をリードする。アリ金融が金融業界での存在感を高めたのは2013年に始めた投資信託「余額宝」だ。アリペイの口座には支払いのために出番を待っているお金が大量に預けられている。それをアリ金融が証券口座のマネー・マーケット・ファンド(MMF)のように運用する仕組みだ。市中銀行に預けるよりも高金利で運用できるため人気となり、資産規模は10兆円規模と世界でも指折りのファンドに成長した。

さらにアリ金融は「芝麻信用(ゴマ信用)」、「 蟻小貸(アリ小貸)」といったサービスも展開する。ゴマ信用はネット通販利用者の信用力を取引履歴、会員期間の長さ、公共料金の支払い記録などから点数化するサービスだ。その点数に応じて与信枠を与え、通販サイト内で枠内での信用買いができる。点数が高ければ提携ホテルのチェックインもクレジットカード提示なしでできる。

アリ小貸はアリババの通販サイトに出店する零細企業に対する貸出しだ。店舗の取引履歴や人気度などのデータを活用して与信審査を自動化した。2010年にサービスを開始し、累計で70万以上の企業に少額融資を実施しているという。アリ金融が企業のアリペイ口座を押さえているため、資金回収も容易で融資が不良債権化するリスクも小さい。

中国のネット市場は「BAT」と呼ばれる中国ネット御三家が牽引してきた。Bは百度(バイドゥ、北京市)、Aはアリババ、Tは騰訊控股(テンセント、深?市)だ。バイドゥはネット検索、アリババは電子商取引、テンセントはインスタント・メッセンジャーとそれぞれ出自は異なるが、豊富な資金力を背景にお互いの領域に進出。競い合うように事業を拡大してきた。フィンテック分野も例外ではない。チャットアプリ「微信(ウィーチャット)」を手掛けるテンセントはネット決済サービス「財付通(テンペイ)」を2005年に開始。遅ればせながらバイドゥも2014年に同様の「百度銭包」を開始した。

情報源:企業家倶楽部

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