2016/06/07

中国人が日本でしたい「意外なこと」とは

『爆買い』と言えば、昨年2月の春節に人気を集めた「温水洗浄便座」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。ホットリンクが発表した“2015年春節に訪日中国人が購入した商品ランキング”でも3位にランクインし、中国メディアでもその爆買いの様子が取り上げられたほどで、当時の爆買いの代名詞と言ってもいいのかもしれない。

訪日中国人の爆買いの象徴としてかつて一世を風靡した「温水洗浄便座」、中国のCCTV中央電視台が日本製と中国製で比べる実験を放送したほど話題になった「炊飯器」、PM2.5対策で爆発的に売れるようになった「空気清浄器」。いずれも訪日中国人に人気の家電だったが、最近はこうした高額家電は以前ほど売れなくなっているという話も聞く。

高額家電のネット人気が下がっている裏側には、日本旅行のリピーター層の増加と旅行スタイルの変化があると、筆者はみている。2016年に日本旅行をした中国人に対しアンケート調査を行ったところ、半数が引き続き日本で大型家電を購入していたことが分かった。

一方で、「購入しなかった」回答者の理由を見てみると、半数が「既に購入済み」、続いて「大きくて重い」という回答が3割にのぼり、この二つの理由で8割を占めた。リピーター層が増加し、旅行スタイルが変化してきたゆえの理由と言える。

「日本旅行の不満」は次のトレンドをつかむ鍵(不満点に関する書き込み例)
  • サービスが悪い:ずっと呼んでるのに店員が来ない、絶対目があったのに無視、日本はサービスが良い国って聞いてたのに
  • サービスが悪い:店員が殺気立ってる、これだけ中国人が押し寄せたら無理もないが、店員増やせよ
  • お店が暑い:せめて中国人が来たときだけでもエアコンの温度下げてほしい、気分が悪くなった
  • お店が暑い:お店が暑くて買い物する気になれなくてすぐ出てしまった。なんで店内があんなに暑いのだろう
  • 言葉(英語含めて)が通じない:中国語とは言わないからせめて英語が通じてほしい
  • 言葉(英語含めて)が通じない:この靴の色違いは他に何色がありますかという英語が通じないのは絶望的だなあ、がんばれ店員

浮かび上がってきたのは、団体旅行ならではの不満である。最も多かった回答は「閉店時間が早すぎる」というもの。団体旅行で訪日する中国人客は、観光バスに乗って、免税店や観光地などめいっぱい詰め込まれたハードなスケジュールをこなす傾向が強い。夕食後の自由時間に、ようやくお目当てのお店で買い物できると思っても、デパートはすでに閉店していてがっかりする人も多いようだ。

2位「時間が足りない」や3位「スケジュールがハードすぎる」という不満も、日本への不満というよりは団体旅行への不満と言える。

団体旅行では〝ゴールデンルート“と呼ばれる東京から大阪間をめぐるツアーが多い。ゴールデンルートに訪日中国人の団体旅行が集中することで、8位「中国人だらけ」という不満も上がってくる。

このような団体旅行への不満が、個人旅行という新たな旅行スタイルの変化を生んでいると言える。事実、筆者が昨年末に調査したところ、日本旅行をもう一度したいと思っている人のうち実に8割を超える人が個人旅行を選ぶと回答した。

SNS上に書き込まれた日本旅行に対する不満は、今後日本が観光立国になる上で解決しなければならない課題を浮き彫りにする。例えば7位の「サービスが悪い」という問題。これは殺到する中国人や外国人に対してお店側の店員数が不足していることや、外国人客に物怖じしてしまい無意識のうちに避けた結果、相手に不快な印象を与えてしまっていることが考えられる。

中国語や英語ができないことを理由に接客自体を拒否してしまうのではなく、日本語でもいいのでまずは相手が「無視されている」「避けられている」と感じない接客が重要ではないか。訪日中国人の日本への不満の中には、企業や店舗のちょっとした改善や対策で対応が可能なものが多い。

今すぐにでもできる対策を積極的に進め、中国人や外国人に満足してもらえる日本旅行を提供することで、リピート客を増やし訪日外国人増加につなげることができると考える。

団体旅行から個人旅行へ旅行スタイルが変化することで、ニーズの多様化・分散が起きている。今年5月上旬の労働節に日本旅行を予定していた人たちのSNS上のクチコミを収集集計し、ランキングを作成した。

1位は不動の「買い物したい」ではあったが、注目してもらいたいのは第4位の「日本人と友達になりたい」だ。「日本人と友達になりたい」が初めてランキング入りをしたのが今年の3月で、これまでになかった新たな需要であることが分かる。

中国では外国人の友達がいるというのはちょっとしたステータス(面子)でもあるため、今旅行先として人気を集める日本に友達がいることは自慢の種になるのだと推測される。

ほかにも「日本料理を食べたい」だけでなく、7位「日本料理を作りたい」がランクインしたのも、日本ならではの体験に関する需要が高まっているあらわれと言えるだろう。「日本料理を作りたい」が初ランクインしたのは、昨年の12月初旬だ。今年に入ってからは常に10位以内に入っており、実際に、観光地などでは“そば打ち”、“わさび作り”、“箱寿司作り”といった料理体験が提供されて人気を集めているようだ。

「労働節にしたいことランキング」からも、個人旅行化が進んだことで訪日中国人の行動が多様化し、これまでの買い物メインの日本旅行から、“コト消費“と呼ばれる日本ならではの体験の提供が重要になってきていることが分かる。今後はさらに“趣味性が高い”、“より個人化”した需要が増加していくと推測できる。

情報源:トレンドExpress