2017/01/15

中国のモバイル決済、89%はアリババとテンセントが支配

中国の国有金融大手がモバイル決済市場に攻め込んでいる。電子商取引大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)傘下の金融会社アント・フィナンシャルや、インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセントホールディングス)といった動きの速いIT(情報技術)企業によるモバイル決済市場の支配を切り崩すのが狙いだ。

中国のモバイル決済市場は昨年9月30日までの1年間に取引高ベースで4兆1000億ドル(約475兆円)と世界最大規模となった。しかも急速に成長中だ。中国の買い物客は映画のチケットから食品に至るまで、あらゆる買い物の支払いにモバイル決済を利用しており、調査会社アナリシスによると、第3四半期には前年同期比106%増となった。

この急速な成長はこれまで、民間企業がけん引してきた。市場の89%を支配するのはアント・フィナンシャル・サービシズ・グループの電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」と、テンセントのプラットフォーム「財付通(テンペイ)」だ(テンペイには人気のある「微信支付(ウィーチャットペイ)」も含まれる)。

一方、国が後ろ盾となっている中国銀聯(チャイナ・ユニオンペイ)は、クレジットカード決済では圧倒的な存在感を誇るが、モバイル決済での市場占有率は1%にとどまる。

国有大手行は独自のモバイル決済システムの導入で後れを取っているが、ここにきて新たな規則やシステム導入へ向けた取り組み強化を通して反撃を開始している。

ユニオンペイは先月、QRコードの標準化を目指すと発表。アナリストによれば、これにより国内全てのモバイル決済が同社のネットワークに取り込まれる可能性がある。こうした類の標準化は何であれ、ユニオンペイのシステムへの参加を規模の小さなモバイル決済業者に促しかねない。 

中国人民大学の金融学者トン・シミャオ氏は「ユニオンペイがこの方向で機能すれば、2大サービスが独占する現在の市場に影響が出るのは間違いない」と指摘。「ユニオンペイとの連携はパートナーとなる事業者に安心感をもたらす」と述べた。

ユニオンペイはコードの標準化が何を意味するのか明らかにしていないうえ、アリペイやテンペイを標的にしているのかどうかについても語っていない。同社のテクノロジー部門を率いる宋漢石氏は先月、「テクノロジーの標準化は不正取引の基本的なリスクを軽減できる」と述べるにとどめた。

ユニオンペイは、同社がクレジットカード決済で独占的地位を獲得するのに役立ったのと同様の公的な後ろ盾を受ける立場にあることをうかがわせる。昨年7月、人民銀行(中央銀行)が支援する業界団体がモバイル決済に関する方針案を出した。そこには、ユニオンペイが昨年12月に発表した標準化や消費者の安全に関する内容と同じような文言が含まれていた。人民銀行は正式な方針を発表していない。

一方、国有大手行も新たなモバイル決済システムを構築しつつある。中国工商銀行や中国農業銀行を含む国内最大級の商業銀行は、アリペイやテンペイとほぼ同じ機能をもったモバイル決済アプリを開発した。

資産規模で国内第2位の中国建設銀行は昨年11月、独自の決済システム「ドラゴンペイ」を稼働させた。このアプリには顔認証技術や近距離無線通信(NFC)が使われている。NFCはユニオンペイと連携する米アップルの「アップルペイ」や韓国サムスン電子の「サムスンペイ」が使用している技術と同様のものだ。

ドラゴンペイには国が後ろ盾についていることを示す、ある特殊な機能がある。「共産党の党員費」の支払いが可能な機能だ。中国でこれを集金できる銀行は大手6行に限られている。

そうした中、既存業者はさらに奥深くへ分け入ろうとしている。大手コーヒーチェーンのスターバックスは先月、中国に展開する約2500店舗でウィーチャットペイの利用を開始することに合意した。

情報源:WSJ

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