2017/04/18

デジタル決済革命はアジアで起きている

微信(WeChat)にペイメントが載り「メッセンジャー+決済」というオールドエコノミーからは想像もつかないビジネスモデルが生まれた。PayPalに代表されるようにデジタル決済はデジタルコマースを支える要因として成長してきたが、QRコードに代表されるモバイル決済により、リアルコマースへのペネトレーションが進んだ。さらに東南アジアでは「ライドシェア+決済」が登場し、誰もが決済を欲しがることを証明した。

あらゆるものがデジタルマーケットプレイスに入ると考えられる時代に、リアル / デジタルをまたいだ決済提供者はとても大きな果実を得る。その決済は限りなく「軽くなる」ことが望まれている。

デジタル決済革命は既存のバンキングが普及していない新興国で起きている。モバイルの爆発的な普及が、新しいデジタルエコノミーを誕生させようとしている。そしてこの世界ではクリティカルマスをとった勝者がすべてを総取りすると考えられている。

Facebook傘下のWhatsApp(ワッツアップ)はインドでモバイル決済サービスを開始する。市場はアリババが出資するPaytm(ペイティエム)が優位に進めているが、WhatsAppには2億人のインド人ユーザーがいる。Facebookは決済畑を歩いてきたデイビッド・マルカス氏をメッセージング製品担当バイスプレジデントに据えており、メッセージングと決済を融合させる意欲が漂う。マルカス氏はゲーム・ソーシャル向けのモバイル決済企業Zongを起業し、Zongを買収したPayPalでプレジデントなどを経てFacebookに参加した。

Facebookは2014年にWhatsAppを220億ドル(約2兆4500億円)で買収。WhatsAppのユーザー数は新興国 / 途上国を中心に10億に達しているが、収益はゼロであり、どのように収益化するか注目を浴びていた。

FTによると、カウンターポイントリサーチのアナリストのネイル・サハ氏は「WhatsAppはインドのモバイルマネーマーケットに参入するための最高のプラットフォームだ」と指摘している。インドの人々はWhatsApp上でビジネスを行うことにとても積極的だという。「(WhatsAppのタイムラインやチャット機能を利用して)乳幼児衣料や医薬品、芸術品、工芸品などを売っている」。

「メッセージング+決済」の先行例はアジア最大級企業テンセントが展開する微信 / WeChatだ。テンセントがアリババを猛追している。アリババは2014年にモバイル決済シェア79%だったが、2016年には50%まで落とした。テンセントは2014年の8%から2016年の38%まで伸ばした。決済を利用したユーザー数では、テンセントはアリペイの2倍以上の8.3億人に上る。

データによると、去年の中国のモバイル決済額は前年比で倍増し、5兆5000億ドル(約600兆円)以上に到達。これは日本のGDPの1.2倍の規模であり、米国のモバイル決済額の50倍にあたる。フォレスターは2019年には中国のモバイル決済額は12兆ドル(約1320兆円)を超えると予測する。中国が先進国をリープフロッグ(飛び越し)していることを明確に物語る。

微信の国内外の利用者数は8億8900万人。中国人は微信を利用して極めて多量で高頻度のコミュニケーションをとっている。「リアル店舗での支払いの際にほかのアプリを開くよりは接触頻度の高い微信でそのまま決済できる方がいい」「送金や『割り勘』などのサービスとメッセージングは相性がいい」などの仮説が想定できる。微信はリアル店舗での支払い簡易化、クーポン、飲食店注文と決済を同時に行えるサービスなどで、ユーザーとパートナーに便宜をはかり、同時に低いコストでユーザー獲得に成功、ネットワーク効果を享受した。

Facebookの課題はインド市場特有の状況に対応できるか、だ。Amazonはインドに50億ドル(約5500億円)を投資しようとしていると言われるように、グローバル企業のインド進出コストは安くない。加えて、中国を見れば決済領域は少数の勝者を好む傾向がみてとれる。Paytmがアリババの投資を受けてクリティカルマスを目指して猛進するなか、WhatsAppの速度は十分なのだろうか。

情報源:DIGIDAYより中国部分抜粋