2017/07/31

小売りの未来は中国にあり、新形態の一大実験場

小売業界は変革期にある。米国の小売店は記録的なペースで実店舗を閉鎖している。アマゾン・ドット・コムは新形態の実店舗を試験運営しており、同社のホールフーズ買収は変化の加速を示す兆候だ。

小売業界の未来を知りたい米国の小売業者や電子商取引会社は、中国に目を向けるべきだ。中国は既に一大実験場になっている。

中国企業はオンラインとオフライン(O2O)の世界をこれまで以上にシームレスに融合させるべく熱心に取り組んでいる。大都市には店員がいない、またはレジがないコンビニエンスストアが出現している。一方で電子商取引大手の 阿里巴巴集団 (アリババ・グループ・ホールディング)と競合の京東商城( JD.com )は、百貨店やスーパーマーケットチェーンに資金をつぎ込んでいる。

アリババは、ホールフーズ風の生鮮食品販売店を展開し始めており、まず3都市に13店オープンする。そこでは食料品の注文、イートインやテイクアウト、自宅への配達手配が全てスマートフォンで可能だ。現金やクレジットカードは使えない。使えるのは、アリババ傘下の電子決済アプリ「支付宝(アリペイ)」だけだ。

アリババの蔡崇信・副会長は、最近電話で行われた投資家向け説明会で、その利点について次のように説明した。「今やストアは客の好みを把握し、客がどこにいようとモバイルアプリ上でそれぞれの客に適した品ぞろえを提供できる。客を理解し、客のニーズを予測できる」

この実現に向け、企業は決済システムの統合や在庫・配達の合理化を進め、業務の効率化を図っている。さらに重要な点として投資家が指摘するのが、消費者の購買習慣に関するデータを収集できることだ。そうしたデータがあれば、小売店は客のニーズに合わせ、オンラインとオフライン双方で売り上げをテコ入れできるようになる。

中国は実験には理想的な市場だ。なぜなら、伝統的な銀行や小売業界が弱いためだ。これは計画経済の負の遺産だ。クレジットカードは当時存在しなかったが、今も一般的ではない。一方、スマホはいたるところにある。

マッキンゼーによると、中国の電子商取引市場は今や、米国、英国、日本、ドイツ、フランス、韓国を合わせたよりも大きい規模だ。一方で、政府系の調査機関、中華全国商業信息中心のデータによると、実店舗を運営する中国の小売店上位100社の売上高伸び率は、過去3年は0%もしくはマイナスとなっている。わずか5年前の2桁成長からは急減速だ。

また、中国の消費者の間では、スマホ決済やQRコードが急速に普及している。政府の統計によると、2016年時点で7億3100万人に上る中国のネットユーザーの約67%がモバイル決済技術を使用しており、半数が実店舗でそれを利用している。

電子商取引会社が、必要に迫られて実店舗運営に乗り出しているのは確かだ。また、電子商取引の売上高伸び率は2014年の50%から15年には33%、16年には26%に低下している。

小売店がオンラインとオフラインでデータを収集できればできるほど、顧客プロファイルの精度は高まり、より的を射た品ぞろえを提供できるようになるだろう。例えば、2人の顧客が同じトイレットペーパーを購入した場合でも、両者の所得水準は大幅に異なり、他の商品やサービスの消費では大きな違いがある可能性がある。

ベンチャーキャピタリストが小売りの実験で最も注目しているのが、レジなしコンビニだ。最近、GGVキャピタルが新興企業の繽果盒子(Bingo Box)に、創新がF5にそれぞれ出資すると発表した。アリババも先週、レジなしコンビニのコンセプトを明らかにした。一方、アマゾンのレジなしコンビニ「アマゾン・ゴー」は、技術的な不具合で開店を延期した。カメラ、センサー、アルゴリズムを使用して顧客を追跡するハイテクシステムが、1度に20人を超える客には対応しきれないことが判明したためだ。 

中国のレジなしコンビニもまだ試験段階にすぎないが、運営しながら各種の問題を修正している。F5は調理時間を短縮するため調理機の改良を進めている。繽果盒子では今月、上海の店舗で室内温度が上昇しドーナツが溶けてしまったため、店を閉めざるを得ない事態に陥った。

投資家にとって、レジなしコンビニの魅力はそのスケールにある。コンビニは小売りで最も急成長しているカテゴリーで、それをけん引しているのは若い消費者だ。彼らはコスト意識の高い年配消費者と比べ、利便性に支出をいとわない傾向がある。創新の張氏は、消費者のプロファイルデータは、食品や飲料の売り上げよりも価値がある可能性があると指摘する。

情報源:WSJ

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