2017/08/02

「モバイル決済」はインバウンド消費喚起になるか

世界的に急速な普及が進んだ携帯電話やスマートフォン。それらの端末を用いる「Apple pay」、「LINE Pay」などの決済サービスも利用者を増やしているという。最近は日本でも目にすることが増えてきたこれらのサービスだが、諸外国を見渡すと、日本のモバイル決済の普及が遅れを取っている状況が見えてくる。

日本銀行決済機構局が6月に発表した「決済システムレポート」によると、日本で携帯電話やスマートフォンを読み取り機にかざし、店頭でのモバイル決済を行う機能を「利用している」と答えた人は、調査全体の6%となっている。

一方、中国の都市部の消費者を対象に実施された調査によれば、回答者の98.3%が過去3ヶ月間にモバイル決済を「利用した」と回答している。また、ケニアでは、携帯電話加入者の約 76.8%(2015年6月)がモバイル決済を利用しているとの調査結果が出ており、日本のモバイル決済利用が進んでいないことがわかる。

中国を例に見てみると、2016年のモバイル決済額が約627兆円に達したと英紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じている。また、4月にBetter Than Cash Allianceより発表されたレポートによると、ECサイトAlibaba(アリババ)が提供する「Alipay(アリペイ)」と、中国人の6億人が毎日利用しているというコミュニケーションアプリのWeChat(ウィーチャット)が提供する「WeChat Pay(ウィーチャット ペイ)」の決済額だけで2016年には約320兆円を超えたとのデータもある。

どちらもスマートフォンアプリと連動した決済方法となっており、店頭でQRコードをかざすだけで決済が完了するという気軽さもこれだけの利用者拡大に寄与していると考えられる。

2013年以降、爆発的に伸びている中国のモバイル決済だが、この勢いを活かしたいのが日本のインバウンド消費ではないだろうか。2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人客数、インバウンド消費額は年々増えている。日本における訪日外国人客全体の4割ほどの旅行支出額を占める中国からの影響は大きい。中国人1人当たりの旅行支出を増やす事が出来れば、全体のインバウンド消費額増加へ直結すると考えられる。

官公庁が行なった外国人旅行者に対するアンケートなどを見ると、両替やクレジットカード利用といった支払いに関する不満の声もあがっている。その対策として、中国で爆発的に増えている決済方法のモバイル決済を取り入れる事が、インバウンド消費を後押しする材料のひとつになるのではないだろうか。

また小売店などがモバイル決済に対応する為にはQRコードを読み取るための端末を導入する必要がある。さらに消費者庁が2016年6月に行なった「オンライン決済、スマホ決済の動向整理」によれば、スマートフォンによる決済に関して「知らなかったし、利用したことはない」と回答した人が8割を超えているというデータもあり、認知度をあげる必要もある。

これらの課題を解決していくには、海外で普及しているモバイル決済に対応した端末の導入に補助金を出したり、モバイル決済に関する認知度を上げる施策を打ったりするなど、国を挙げた取り組みが必要になってくるのではないだろうか。観光立国を掲げる日本にとって、海外で急激に増えているモバイル決済の流れを無視し、機会損失を続けるか、上手くインバウンド消費を加速させるかは国策にかかっている。

情報源:IoTToday