2017/11/16

「ダブル11」背後にある中国消費の「ダブル転換」

今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)では、天猫(Tmall)と淘宝(タオバオ)を合わせた取引額が1682億元(1元は約17.1円)に達し、京東商城の累計受注金額は1271億元を超えるなどして、相次いで記録が塗り替えられた。中国のネットビジネスの年に一度の祭典は、中国経済の力を映し出す鏡のようだ。最初の年の5千万元ほどの規模から現在の数千万元へ、年々加速し増加するデータには、中国消費市場の安定した急成長ぶりが反映され、さらに中国の消費者の消費バージョンアップに対する切実な欲求が照らし出されている。

過去5年間、消費という「馬車」は安定した速いペースで走ってきた。市場規模をみると、社会消費財小売総額は2012年の21兆元が16年は33兆元に増加し、13~16年の年平均増加率は11.6%だった。国民経済における消費の役割をみると、消費は11年以降、徐々に経済成長の一番目の牽引力になり、今年第1~3四半期(1~9月)には、最終消費支出の経済成長への寄与度が64.5%に達し、経済成長に対する消費の基礎的役割がさらに強固なものになった。

こうしたことを背景に、中国国民の消費構造のバージョンアップが徐々に加速する段階にさしかかっている。16年のエンゲル係数は30.1%で、国際連合が設定する「30%以下の富裕基準」の段階にあと一歩のところまできた。この段階に入ると、消費ニーズが多様化し、特に質に対する追求がますます高まるという。各国の発展経験をみるとわかるのは、国内総生産(GDP)一人あたり平均が8千ドル(1ドルは約113.8円)を超えると、消費ニーズは商品からサービスへより多く向かうようになることだ。多くの先進国はこの水準に到達した後、消費に回せる支出が5千ドル前後に達しており、現在の中国は同等レベルの消費支出が約4200ドルで、発展の可能性はまだまだ大きいといえる。

量の満足から質の追求へのバージョンアップ、形あるモノの追求からより多くのサービス型商品の追求への転換。このような中国の消費の「ダブル転換」が言われるようになった。供給と需要とそれぞれの不足を補うことが、未来の消費バージョンアップに対応し、消費の安定した増加傾向を保つ上でのカギになるとみられる。

供給サイドからみると、ますます多様化する中国の消費ニーズにはまだ大きな発展の可能性がある。観光市場をみても、過去10年間には、海外での消費の増加率が毎年2けたに達し、アウトバウンド市場とインバウンド市場で「消費赤字」の局面が続いている。消費財とサービスの供給は、消費バージョンアップのニーズにまだ効果的に対応できていない。それだけでなく、物流コストの引き下げにはまだ可能性があり、ニセモノの製造販売、消費者の個人情報漏洩といった問題がまだ根本的に解決されていない。こうしたことはすべて消費分野の供給側構造改革において解決しなければならない難題だ。

需要サイドからみると、個人の所得水準、地域の発展の不均衡、都市と農村の格差といった問題は、客観的にみて消費の潜在力のさらなる発揮を制約している。「2017年中国EC半年報」によれば、広東省、浙江省、上海市、江蘇省、北京市、福建省の6地域のネット小売額を合わせると全国の80%を占めるという。農村地域のブロードバンドネットワーク構築と基地局建設、スマート物流システムと円滑な冷蔵輸送チェーンの構築、オンラインとオフラインの低コストでの融合推進、都市・農村間のECをめぐるデジタルデバイドの縮小をさらに強化すれば、農村市場の、とりわけ農村EC市場の巨大な「眠れる消費」が目を覚ますことは確実だ。

新時代の中国社会の主な矛盾点が消費分野に反映されており、供給される製品の質、技術の研究開発力と革新力が国内の消費バージョンアップのニーズに遅れを取っていることに現れている。人々の日に日に増大する素晴らしい生活へのニーズは待ったなしだ。国内消費の選択肢を増やし、海外に流れた消費を回流させ、消費構造を最適化し、消費のバージョンアップを推進して、たくさんの人々の個性と多様性と差別化を求める消費ニーズに応えていかなければ、国民を中心とした発展理念をよりよく体現することはできない。

情報源:人民日報