2017/11/13

アリババ、中国の雇用と決済を変える

経済の新旧交代を促す米アマゾン・ドット・コムの存在感が高まる中、実はネット通販の膨張では中国が先を走る。アリババグループは11日、年1度の大規模な「独身の日」セールを開き、この日だけで取引額は1682億元(約2兆8千億円)となった。500兆円の中国消費全体でのネット通販比率は15%に達し日米を上回る。あらゆる企業に影響を及ぼす「アリババ・エフェクト」の膨張はネット通販で中米の背中を追いかける日本経済の先行きも左右する。

「新しい消費の時代がきた」。アリババの張勇CEOは「独身の日」セール開幕直前に、こう宣言していた。上海市内の特設会場には刻々と増える取引額が表示。2017年は16年実績を大きく上回り、楽天の年間流通額に近い規模に達した。

現在、アリババの通常時の取引は1日100億元。その15倍超の規模に照準を合わせてITや配送のシステムを組めばロスが大きく、経営のセオリーでは避けたいところ。しかしアリババの考えは逆だ。「近い将来、1日1500億元超が当たり前になる。その準備にすぎない」。ある幹部は豪語する。

夢物語とは限らない。国連貿易開発会議によると中国の個人向けネット通販市場は約70兆円で約69兆円の米国を上回る。消費全体に占める割合は約15%で、11年の4%から急拡大。米国の7%、日本の5%を圧倒する。アリババの時価総額は10月、一時アマゾンを抜いた。

雇用や決済の風景もがらりと変えた。「ラストワンマイル」と呼ばれる顧客宅までの配達を担うのは300万~400万人もの宅配員。月5千元前後の収入を得られ、多くが地方からの出稼ぎだ。新たな雇用が消費を生み、景気の失速を防ぐ。

電子決済の急増もけん引する。アリババと騰訊控股(テンセント)のサービスだけで延べ12億人が登録。スマホ決済は12年の2千億元から16年に39兆元(約660兆円)になった。

日銀のレポートによると店頭でモバイル決済を利用する人は日米独が2~6%。中国では98%が「3カ月以内に利用した」と回答している。GDPに対する現金流通は15年時点で9.3%。タンス預金が多い日本(18.6%)は別にして、キャッシュレスがさらに進み今では米国(7.4%)並みに低下しているかもしれない。

大量の偽造品など課題も多い中国ネット通販の膨張だが、ネットや決済の進化が加速するとどうなるのか、示唆に富むとの声は多い。アリババは日本で中国人観光客にスマホ決済「アリペイ」を手掛けてきたが、日本人向けにもサービスを始める計画を立てている。

情報源:日本経済新聞