2017/11/03

中国の配車アプリが急成長している理由

タクシー配車と相乗りサービスで世界最大手の中国・滴滴出行(ディディチューシン)がタクシー国内最大手の第一交通産業と組み、2018年春にも東京都内で配車アプリを使ったサービスを始めるという。今回はタクシーサービスだが、そのほか、シェア自転車、電子決済などで、中国企業の日本参入が相次いでおり、中国企業の参入に危機感をにじませている日本企業も少なくない。

1年の半分以上を中国で生活する筆者の生活感からすれば、一部のサービス業は日本よりも格段に進んでいる。タクシーサービスなどはその典型的な例の一つと言えるだろう。

タクシーを呼びたいならば、まず、スマホで滴滴出行のアプリを立ち上げ、あらかじめ登録しておいたIDでログインする。次に、現在位置と行きたい場所を設定するだけで作業は終わり、タクシーは早ければ数分で到着する。支払いはテンセントの対話アプリである微信の支払い機能を使えば数秒で済む。タクシーだけでなく、7人乗りのバンや高級車に乗りたいならば、個人の自家用車を使用する(いわゆる白タク)サービスも受けられる。通勤用としては相乗りサービスもある。こうしたサービスの価格は、タクシーと比べてリーズナブルである。

滴滴出行の前身は2012年7月10日に設立されたベンチャー企業(北京小桔科技有限公司)である。設立から約3か月後に、iPhone向けにタクシー予約アプリを立ち上げると、その年の12月には、ベンチャーキャピタルであるGSR Ventures(欧米、シンガポール、香港などからの資金が多い。アーリーステージの中国ハイテク企業を中心に投資)から300万米ドルの資金を調達している。その後も、2013年4月にはテンセントから1500万ドルの資金を調達。2014年1月にはCITIC産業ファンドから6000万ドル、テンセントから3000万ドル、その他機関投資家から1000万ドル、合計で1億ドルの資金調達を行っている。

金融機関からは資金に加え、財務戦略やM&A戦略などでの協力を得ながら、タクシーの予約アプリを出発点として、業容、事業規模を飛躍的に拡大させている。設立後わずか5年で、同社は、テンセント、アリババ、百度、ソフトバンクや、内外のベンチャーファンドが資金を供給し、経営を支える世界有数の企業となっている。その資金力はUberの中国ビジネスを買収するほどである。中国は、ベンチャー企業の育成システムにおいて、グローバル化、自由化の面で、タクシーサービス以上に日本の先を進んでいる。

共産党大会で中国の社会主義化が今後一層進む見通しとなったが、それは経済の大きな枠組みについてコントロールを強化するということである。“市場の失敗”には国家のコントロールを強化するが、市場経済が有効な分野では、これまで以上にグローバル化、自由化が加速するだろう。中国を矮小化した政治面だけから見る限り、本当の姿は見えてこない。

情報源:マネーポスト