2017/06/23

日銀レポートからみたモバイル決済への誤解

赤い点線はカード決済が消費の割合を占める比率を表す

FinTechの潮流の中での、リテール決済分野における一つの特徴的な動きとし て、世界的に急速な普及が進んだ携帯電話やスマートフォンを用いる「モバイル決済」の拡がりが挙げられる。

このようなモバイル決済は、先進国よりも、むしろ中国やケニアといった、従来はリテール向け銀行サービスが十分に発達していなかった国々で急速に拡がるケースが目立っている。この間、日本では、世界に先立って、既に2004年の段階で、電子マネーの技術を携帯端末に搭載する形で、店頭でのモバイル決済サービスが開始されたが、現在のところ、店頭でのモバイル決済は、広範に利用されているとは言い難い状況にとどまっている。

日本銀行の報告では、先進国の日本、米国、ドイツを対象にし、アンケート調査及び分析を行ったが、モバイル決済先進国の中国と韓国を今回のスコープから除外されている。金融インフラが異なるから比較にならないと考えているだろうが、少し残念に思う。

また、報告書の中でケニアのM-PESAを取り上げたが、これはモバイル決済というよりも、SMS決済と言ったほうが正確だと考える。従来のカード決済に比べると、確かにSMSを通じてカードホルダーとのコミュニケーションができるが、スマートフォンでなく、NFCやLBSなどの機能を備えないため、単に通信方式はカード決済のPOS回線からSMSのキャリア回線に変えているだけだと思う。

最後に、モバイル決済の拡がりは人々のセキュリティ面での不安感などを払拭できるかどうかが鍵であると日銀は指摘しているが、AlipayやWeChatの実績からみると、今のモバイル決済は、カード詐欺や不正の利用率は主流のクレジットカード決済より断トツ低く、銀聯デビッドカードよりも低いと言われている。もし中国で同様なアンケードを実施したら、カード決済よりQR決済のほうが安全だとの結果が出るだろう。

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2017/06/22

JTB、Alipayをホテルなど宿泊事業者向けに提供へ

JTBは2017年7月1日より、国内観光事業者向けに中国大手モバイル決済サービス「Alipay(アリペイ)決済サービス」を提供開始する。これは、同社が手掛ける「スマート決済事業」の一環。フィンテックやIDを活用した決済サービスを推進し、訪日インバウンドを対象とするキャッシュレス化にもつなげる。

アリペイを使うことで、利用者は、スマートフォンとQRコードを使って簡単に決済できるようになるもの。まずは中国からの訪日旅行者の利便性向上を行うため、宿泊施設や土産品への導入を順次開始する。その後レンタカーや各種施設にも展開し、さらに、商店街など各地の地域に向けた利用拡大も進める。

しかし、中国人観光客はCtripなどのOTAサイトで宿泊施設を予約し、事前に支払いを行うため、現地での直接決済は少ないと思われる。宿泊施設や土産品のQRコード決済を狙うより、地域商店街の共通パスを作り、モバイルQRコードとして支払える仕組みを中国人観光客に提供できると、歓迎されるだろう。

情報源:Travelbox

2017/06/21

Alipay、ドイツへ欧州全土も視野に

中国最大手のネット決済システム「アリペイ(Alipay)」のパートナー、ドイツの決済サービスプロバイダーのコンカルディス(Concardis)社は8日、オーストリアとスイスの実在店舗にてサービスを開始すると発表した。

中国最大の第三者決済サービスプラットホームのアリペイは、昨年のドイツの実在店舗に続いて、欧州ドイツ語圏のオーストリアとスイスの実在店舗に進出することになる。

これにより、オーストリアの伝統的な服飾ブランド、ゲースル(Goessl)傘下の20店舗で、初めてアリペイのQRコード決済サービスが使用可能となる。スイスにおける業務計画は今年10月から全面的に展開する予定。

2016年10月当初、アリペイとコンカルディスは高級ブランド、ヴェンペ(Wempe)のフランクフルト(Frankfurt)、ハンブルク(Hamburg)、ケルン(Cologne)などの店舗で、携帯決済サービスを開始し、現在では数百店舗で使用が可能となっている。ヴェンペ以外にも、トッズ(TOD’S)やティンバーランド(Timberland)などのブランドでもサービスを開始。また、ドイツ・ブンデスリーガの名門ボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)もホームのジグナル・イドゥナ・パルク(Signal Iduna Park)や各記念品専売店で、観光客のためにアリペイ支払いサービスを導入した。

コンカルディスは欧州有数の決済サービスプロバイダーで、現地では47万以上の決済端末を有している。

統計によると、2015年には250万人の中国人観光客がドイツを訪れた。この数字は増加傾向にある。また、スイスとオーストリアも中国人の重要な海外旅行の目的地となりつつある。 

アリペイによるドイツ語圏3大国(ドイツ、スイス、オーストリア)での業務拡張は、今後の欧州進出の第一歩に過ぎない。先日には、欧州の観光の中心地であるモナコとも戦略提携協議を締結した。

情報源:CNS News

2017/06/20

WeChat広告のクリック水増し詐欺


先日、タイで3人の中国人が逮捕された。理由はクリック詐欺、クリック水増しだ。3人が作業していた「クリック製造工場」とでもよぶべき現場に警察が踏み込むと、そこには約500台ものスマートフォンと約35万枚のSIMカードがあった。WeChatの広告で不正なクリック水増しを行なっていたという。

通報によって現場に踏み込んだタイ警察だが、ネタ元のBangkok Postによれば、タイには不正クリックを禁ずる法律はないそうだ。しかし、中国には存在しており、深刻な問題になっていることから、今回はタイ警察が中国側に協力した形なのだろう。逮捕された3人は中国に強制送還される見通し。

広告主にとって、クリック水増しは頭を悩ませる大問題。2015年のAdAgeの記事では、上海の広告会社が「WeChatで偽物のファンユーザーを使うのは、不徳な広告会社の手口。クライアントに、こんなにファンがいるよ、キャンペーン成功ですよというための手段となっている」と語っている。また、同じく2015年のアメリカの調査では、広告主は約60億ドルをボットで無駄にしているというものもある。

情報源:DailyMail

2017/06/19

WeChat対Apple、妥協か対抗か

米アップル社はこのほどアップルストアの契約条項の中に、「微信」(WeChat)アプリ内のコンテンツへの寄付機能「リワード」をアプリケーション内課金(IAP)の1種類とみなし、アップルが30%の歩合を徴収することを明らかにした。この条項が有効になると、微信公式アカウントのリワード、専門的文章の公開プラットフォーム·知乎専欄のリワード、各種中継プラットフォームのリワードなど各方面のリワード機能がいずれも影響を受けることになる。またリワードや広告で稼いできた作者や団体の多くが、よりはっきりとした影響を受けることになる。

IAPとは、携帯電話のアプリケーションでバーチャル商品を購入した時に利用される一種の料金支払いモデルだ。アップルのiOSシステム、アンドロイドシステム、マイクロソフトのウィンドウズフォンシステムなどさまざまなシステムが対応する。ユーザーがバーチャル商品購入の注文を出すと、アプリは携帯電話のシステムを通じて注文を処理し、システム側は決済に関する情報を検証し、審査が通れば、アプリの開発サイドにこの注文が審査を通ったことが通知され、アプリサイドはユーザーにバーチャル商品を発送する。

これまでアップルはIAPの範囲内の商品について30%前後の歩合を徴収すると一貫して規定してきた。規定対象のバーチャル商品には、書籍、音楽、動画、ゲーム用通貨などがある。中国のインターネット独特のリワード機能はこれまではIAPの範囲外としてきた。

アップルの最新の改訂版iOS条項では、リワードが明らかにIAPの範囲に組み込まれており、「アプリケーションはIAPを利用して支払いをし、ユーザーがアプリ内でデジタルコンテンツの提供者にリワードを送るようにしなければならない」としている。また、「アプリ内で顧客を誘導してIAP以外のメカニズムで購入のボタンを押したり、外部にリンクしたり、その他のコールトゥアクション(CTA)を行ってはならない」と規定される。

開発者の説明によると、アップルのシステムでは、アプリ内で支払いをする場合、アップルのIAPシステムに基づき、アップルのIDを利用して購入しなければならない。アップルはユーザーがアップルのサーバーを回避してアプリ内で直接料金を支払う行為に対応しておらず、アップストアにジャンプして購入するか、開発者がアップルの公式ルート内に設置したサーバー上で購入しなければならない。こうしたやり方のメリットはアップルがアプリの料金徴収を監督管理するのにプラスであること、アップルが購買行動に対し歩合を徴収するのにプラスであることだ。

リワードは中国インターネットが一定のレベルに達して生まれたものだ。現在は主に有料コンテンツと中継プラットフォームの2種類のアプリケーションで利用されており、有料コンテンツでは微信公式アカウントでコンテンツ制作者にリワードを送る場合、知乎専欄でリワードを送る場合、また「微博」(ウェイボー)の文章公開アプリで作者にチップを送る場合に主に利用される。中継プラットフォームはどこもプロデューサー側にリワードを送る機能があり、これがプロデューサー側の主な収入源の一部になっている。

アップルがリワードから歩合を徴収すると発表すると、プラットフォーム側はさまざまな反応を示した。最も激しく反応したのは微信で、今年4月に改訂条項の内容を把握するとすぐ、「iOS版微信公式アカウントプラットフォームで発表された記事へのリワード機能を停止します」と発表。初めはやり方を変えてリワードを継続することを目指し、ユーザーには「二次元コードを使って送金する方法に調整される」と呼びかけていた微信だが、わずか数時間後には「二次元コードを使った送金機能も利用できなくなった。これで、iOS版微信の公式アカウントの記事のすべてのリワード機能が利用できなくなった」と発表した。

微信によると、「アップル側と長期に渡りコミュニケーションや協力を行ってきたが、最終的にiOS版微信のリワード機能を調整せざるを得なくなったことを残念に思う。これと同時に影響を受けるものには微信の表情イラストに対するリワード機能がある。今ではユーザーはアンドロイド版微信を通じてしか気に入ったイラストの制作者にリワードを送れなくなった」という。

知乎は文章の作者に通知を送り、アップルの要求に応えることとし、専欄のリワード機能をIAPメカニズムに接続させて決済を行うこと、アップルは30%の歩合を徴収することを明らかにした。iOSユーザーが作者にリワードを送る場合は歩合の分が減額されるが、アンドロイドユーザーなら影響を受けないという違いが生まれる。

情報源:北京青年報

2017/06/18

中国シェアリング自転車が上陸、スマホで解錠・決済

中国のシェアリングバイクサービス大手、摩拝単車(モバイク)が日本に進出する。7月中に一部地域でサービスを始め、年内にも主要10都市程度に広げる。スマートフォンで近くの自転車を探し、料金もスマホで決済する。同社は1年強で500万台を普及させたが、中国ではこうしたスマホを使うシェアサービスが続々と誕生。14億人の巨大市場で成功した中国勢が、この分野で出遅れた日本に「上陸」する例が増えそうだ。

モバイクはこのほど日本法人を設立。スマホの専用アプリを使い、独自開発した自転車をシェアできるサービスを7月中に始める。自転車にGPSを搭載。利用者はスマホで最寄りの自転車を探し、QRコードを読み取ると数秒で解錠され乗ることができる。利用後はスマホで利用料金が自動決済される。詳細は今後詰めるが、当面は30分100円以下で試験提供するとみられる。

交通渋滞の緩和や排ガス低減、住民の健康増進を期待しシンガポールや英国が導入を決めており、同社の海外展開は3カ国目となる。日本では放置自転車の増加を防ぎたい地方自治体と協力する形でサービス提供する。既に複数の自治体と最終協議中で、年内に東京都や関西圏など主要10都市程度への展開を目指す。

モバイクは2016年に上海でサービスを開始したベンチャー企業だが、既に中国全土で500万台を展開する。中国の特に都市部では、ライドシェア(相乗り)の滴滴出行や民泊アプリの途家など、スマホを使ったシェアサービスが爆発的に広がり、人々の社会生活を変えるような事例が目立つ。活力の源泉は少額のお金のやり取りを可能にするスマホを使った電子決済サービスの普及と、ベンチャー企業に集まる豊富な資金力だ。

ネット大手のアリババ集団が手掛ける「支付宝(Alipay)」や、騰訊控股(テンセント)の「微信支付(WeChat Pay)」といった電子決済サービスは数億人が使う身近な「生活インフラ」として定着。中国の調査会社によると、スマホなど移動端末を使った決済市場は16年に約200兆円規模に達した。

スマホ決済は、ベンチャー企業にとって料金徴収する上で重要な基盤となっている。モバイクも中国での利用料金は30分1元(約16円)と少額だが、1日2千万件分に達する利用料をスマホ決済を通じて回収している。

資金力の面では、モバイクは16日、テンセントなどの企業集団から6億ドル超(約670億円)を調達すると発表した。中国のベンチャー投資額は、16年は日本の20倍超の3兆円規模に達したとされる。豊富な資金源が新たなサービスの開発、普及を後押ししている。

中国で新たなシェアサービスが普及しやすい背景には、関連する規制が未整備なこともある。モバイクや同業のofoも含め乗り捨て可能なシェア自転車が急増した結果、かえって放置自転車が交通を妨げる問題が起き、各地方政府が慌てて規制を強化した経緯もある。

モバイクは日本で放置自転車の増加を防ぐため、自治体のほか駐輪場を持つコンビニエンスストアやレストランなどと協力。駐輪場をあらかじめ決めるなどの対策を取る見通し。GPSを使い全車両の位置を把握できるため、違法駐輪した利用者に注意を促す仕組みなども検討する。

近年、アリババのアリペイが日本のコンビニなどで使えるようになっているほか、民泊の途家も日本法人を設立した。ただ、これらは訪日観光に訪れる中国人向けが主体とみられる。モバイクのように日本人の利用を狙った中国発のネット関連サービスは珍しい。

中国企業が海外展開するに当たり、個人情報の保護も課題となりそうだ。中国の消費者の間では、ネット通販での購買履歴やチャットアプリの会話内容といった個人情報が、企業から市民への監視を強める当局に流れているとの懸念も強いからだ。

情報源:日経

2017/06/17

中国モバイル決済、2017年1Qも高成長

中国人民銀行がこのほど発表した「2017年第1四半期決済システム運行全体状況」によると、モバイル決済事業は第1四半期に高い成長率を維持した。

全体的に見ると、全国で今年第1四半期に処理された非現金決済業務は前年同期比24.53%増の2333億7100万件、金額は928兆6300億元(1元は約16.2円)に達した。

銀行業金融機関が第1四半期に処理した電子決済業務は374億100万件、金額は756兆8400億元。うちオンライン決済業務は8.17%増の112億9700万件、金額は0.14%増の658兆7800億元。電話による決済業務は25.30%減の4007万2700件、金額は26.33%減の2兆3400億元。

注目すべき点は、第1四半期にモバイル決済業務は65.71%増の93億400万件、金額は16.35%増の60兆6500万元に達した点だ。また非銀行決済機関が第1四半期に処理したオンライン決済業務は60.13%増の9470億9000万件、金額は42.47%増の26兆4700億元だった。

クレジットカードの信用不良率も上昇を続けている。第1四半期末時点のクレジットカード半年延滞総額は、前四半期比12.89%増の604兆7000億元にのぼった。クレジットカードの消費者信用の1.50%を占め、前四半期末比で0.10ポイント上昇となった。

情報源:経済日報